この映画に関しては、ずいぶん良い評判を聞いており、トップガン マーベリックの監督・スタッフが制作しているという話も聞いたので、観に行くことにする。
トップガン マーベリックのフライトシーンがものすごく良く、それが車に変わったとて、かなり良い映像が見られるだろうという期待もある。
映像は期待以上というか、かなり迫力のある映像が観られる。
トップガン マーベリックの時も思ったのだが、「ああ、これIMAXで観るやつだ」とやはり感じてしまう。
せめてTCXだったら良かったのだが、そちらは今国宝に全振りしているみたいで、残念ながら普通のスクリーンでの視聴である。
それでも圧倒的な臨場感であったので、IMAXで観ていたらどんなことになっていたかわからない。
今やどんな映画にもCGは入っていて、どんな映像を観せられても、割と驚きは無くなっているが、この作品に関しては、どうやって撮ったんだろう、という映像が満載である。
どう考えたって、本当にレースを開催して、それを撮影しているようにしか思えない。
もちろん自分はF1になんか乗ったことがないので、スピード感とか知らないはずであるが、F1のマシーンに乗るってこういうことだよな、としか思えない、説得力のある映像が続く。
事故やクラッシュのシーンなんかも、かなりリアルで、本当にぶつかって壊れたようにしか思えない。
それに、マジでブラピ運転してるんじゃね? と思ってしまうような映像も散見され、本当に今更こんな贅沢な映像を観られるのは行幸でしかない。
正直、物語に関してはかなり無理はあると思う。
やはりどんな事情があれ、そもそもブラピ演じるヘイズがF1のハンドルを握るのは無理があるし、他の人物も物語上の必要性から恣意的に配置されている感が否めない。
ヘイズのドライビングも、ロートルだから、では説明できないぐらい荒ぶったものである。
シーズン終了後の顛末も、成し遂げたことを考えたら無理筋であると言わざるを得ない。
ただ、自分は80〜90年代のハリウッド映画の空気を感じてしまい、むしろ好意的に捉えている。
予告編にそういう映像があったので、ここで言ってしまうが、女性のテクニカルディレクターと良い仲になる場面は、今どきこういうものが観られるんだ、と思って微笑ましかった。
物語の語り口も、自分が好きな映画である「デイズ・オブ・サンダー」に近く、レースをそこまでじっくり観せずにツアー全体で話をドライブさせているので、全くだれない。
逆にいえば、ドラマを過剰に含有することで、俺たちが見たいものを釣瓶打ちに見せられる。
特に、最終レースの顛末は、無理があると思いつつも、「こんなもの見せられたらアガるしかないだろ」といったもので、実際自分は泣いていた。
ヘイズがやってのけたことは、この宇宙(ユニバース)全男のシビあこである。
その一方で、F1の舞台に関することは、かなり現実に即して描かれている。
タイトルに注目してほしいのだが、「F1®」となっており、登録商標の表記がついている。
英語の原題も「F1® The Movie」で、かなりガッツリFIAが絡んでいるのだと思う。
フェラーリやBMWがそのまま登場するし、自分的に馴染み深い、セナ・プロスト、現役のフェルスタッペンや角田まで言及される。
このバランスはすごく面白い。
あと、「ブラピ、永遠にかっこいいかよ」と思った。