ファンタスティック4:ファースト・ステップ|映画|マーベル公式
まあ、マーベルだから観に行く、というのはあるのだが、最近は感覚的に「ヒーローものだから」という感覚が強い。
昔は「マーベル」だけでほぼ面白さは担保されていたのだが、フェイズ4以降、はっきりいうと酷い作品がいくつかあり、スーパーマンの出来も相まって、相対的にニチアサなどと肩を並べる感じになっている。
ファンタスティック4は過去に3作ほど映画化されており、全て地上波かCSかなんかで見たと思うが、全く印象に残っていない。
まあ、ヒーローものに熱くなる前だったのもあるが、そもそもファンタスティック4というチーム自体にあまり思い入れを感じない、というのもある。
その理由ははっきりしていて、メンバーの能力の問題である。
1961年に生まれた、アメコミ史上初のチームということで、かなり由緒正しいヒーローであるが、逆にいうと、能力が古臭い。
ヒューマントーチが空を飛んでいるのはやっぱり無理があるし、見た目が岩で怪力、というのも若干面白みがない。
ミスター・ファンタスティックの体が伸びる、というのも、絵面があまりかっこよくなく、この映画での唯一の見せ場も、なんかビジュアルにちょっと笑ってしまう。
それに、今や能力ものは相性が標準装備になっていて、ジョジョなんかはそれで成り立っている部分もあると思う。
ファンタスティック4のメンバーの能力を見ると、これとこれを組み合わせればシナジーでもっと強くなる、とか、意外な効果が、とかが、なんだか生まれにくそうである。
チームということであれば、やはりそういうものが見たいのだが、その点で満足はできない。
それを打破するようなアイディアがあればよかったのだが、残念ながらこの映画にもそういったものは無い。
結局、スーが頑張った、で終わってしまっている。
しかも、スーが頑張った理由がチームの絆とかではない、というところがこの映画の欠点だと思う。
というか、そもそもファンタスティック4が戦う場面があまりない。
ストーリー自体も、ご都合主義で体よく進む場面が多い。
映画はテンポよく進むが、全体的に説明が足りなくて、「なんで?」と思う部分が多々ある。
シルバーサーファーはなんであそこから助かったの? とか、なんでヒューマン・トーチは解読できたの? とか、なんで市民はあれだけ簡単にファンタスティック4を信頼できるの? とかわからない部分が散見される。
はっきりいうと、せっかくわざわざ別アースにして、これまでのMCUのコンテキストから離れて語れる機会だったのに、1本の映画としてきちんと成立させられなかったのは、非常にもったいないと思う。
スーパーマンとの違いはまさにそこで、スーパーマンはそれだけで1本の映画として成立させているが、その映画はそこまでの出来になっていない。
ただ、シルバーサーファーのキャラは、女性に変えた意味もちゃんとあったし、非常に良かった。
また、デザインや、全体の絵作りは隙がなくて素晴らしい。
そもそもレトロフューチャーが好き、というのはあるが、その中でも、かなり上質なデザインになっていると思う。
CGにも手抜かりはなく、それは好感触である。
監督のマット・シャックマンはワンダヴィジョンも手がけており、こういったものが得意な人なんだろう。
まあ、正直映画としては物足りなかったが、良い映像は観られて良かった。