夏へのトンネル、さよならの出口を観る

映画『夏へのトンネル、さよならの出口』公式サイト

上映プログラムを見るまで存在すら認識していなかった作品であるが、時間的に適当という理由で観に行くことにする。

本当はヘルドッグスを観たかったのだが、公開されてしばらく経ち、上映数も限られており、レイトショーで観るしかなかったので諦める。

というか最近は観たい映画が本当に少ない。


本作は1時間半足らずの短いアニメ作品で、非常にサラッと観られる。

悪様に言ってしまえば、中身はゴリゴリのジュブナイルで、いい歳こいたおっさんが観に行って何かの感慨を得るような作品ではない。

逆を言えば、自分が中高生ぐらいの時分、この手の作品を好んで観ており、散々通り過ぎているので、やりたいことはものすごくわかる。

ただそのやりたいことをやるために、登場人物の設定、行動原理、舞台設定、因果律等、物語のあらゆる構成要素が恣意的に作られていて、それがわかってしまうので物語の中にどうも入り込めない。

具体的な問題を論っていくとキリがないのでやめておくが、1つだけいうと携帯電話の電波に関しては最後まで気になってしまう。

携帯電話で繋がることがこの物語の前提になっているんで、そこに疑問を挟む余地があると、物語全部が飲み込めない。

そういった不備がいくつもある。


一番残念だったのは、この物語の顛末である。

あまりにも安直すぎる。

ここは主人公が最後にトンネルに入った時の想いを貫き、その顛末は見せない、とかだったら一生心を掻きむしられるような作品になっていたような気がする。


カレンはとても良い。