映画『THE BATMAN-ザ・バットマン-』オフィシャルサイト
2020年のDCファンドームから待ち望み、この日記でも何度も言及したTHE BATMANが公開される。
とにかくトレーラーの雰囲気が最高で、DCの持ち味であるダークさ、ハードさが全開で期待値はマックスに振り切れている。
観に行かないなんて選択肢はない。
ティム・バートンのバットマンはとにかく繰り返し見ており、ポップさとダークさが絶妙に折り重なった雰囲気がとても好きである。
クリストファー・ノーランのバットマンも世間で言われているほど評価しているわけではないが、リアリティーのあるゴッサムの佇まいが好きである。
ザック・シュナイダーのバットマンはとにかくアクションが良くて、カッコよくて好きである。
それでもマット・リーブスのバットマンはかつてのバットマン映画史上1番好きである。
バットマンの本質であるところの陰の部分が1番上手く描かれている。
正直に言えば、ストーリー自体は割と散漫な印象を受ける。
DC(Detective Comics)のオリジンであるところの探偵物としての側面。
未完成なところから、リドラーを追いかける過程で使命を自覚していく、というイニシエーションの側面。
ゴッサムの腐敗を描く社会劇としての側面。
これらが絡まり合って物語が進んでいくのだが、推進剤であるところの探偵としての謎解きの部分があまりパッとしないのでいろんな側面がまだらに語られていく印象になる。
謎を解いた後に待ち受けている真相や、イニシエーションの部分が非常に興味深かったので、謎解きの部分にもう少し納得感があればとんでもない傑作になっていたと思う。
とはいえ、期待していた雰囲気は最高である。
演者全員がハマっているし、ビルボードのゴッサムというのも良い。
特に良かったのがポール・ダノ演じるリドラーで、ヒーローもののよくあるヴィランではなく、「犯罪者」として描かれているのがものすごく良い。
だからこそ、今作のバットマンの個性が際立つ作りになっているのは唸る。
こういうアプローチはMCUにできない強みである。
演出もとても良く、アクションもカーチェイスも派手さがない。
カーチェイスに至っては2台の車が並走するシーンがほぼなく、それぞれの車の単独のショットや運転するドライバーのカットが主で、それがむしろカーチェイスの本質、「追うもの」と「追われるもの」の構図を浮き彫りにしている。
全体的にそういった典型から外れた演出が随所にみられ、バットマン全体の雰囲気の構築に成功していると思う。
これは続編が見たい。